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晴れの、雨の日。

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ベルリンは、秋晴れのよい天気が続いています。
にもかかわらず、心には雨がふったり嵐が来たり。
忙しい毎日ですが、すこやかにすごしています。
PCおよびデジカメおよび時間と、その他の問題が少々ありまして
しばらく更新をお休みします。
2、3週間後にまたふらりとお立ち寄りいただけると嬉しいです。
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「天気の変わる理由」

晴れの日は、遠くまで見渡せる。
雨の日は、人と深く語り合える。
曇りの日は、自分の内面と向き合える。

嵐の日には、謙虚に身を任せるすべを思い出し、
雪の日には、すっかり心が洗われる。

(By Aya)
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by sommergarten | 2006-09-29 17:35 | ごあいさつ

気まま・ベルリン百景 (六)

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典型的な、夏の日のカフェ。

ベルリンには中庭のある集合住宅が多く、したがってカフェに中庭があることも多い。建物の構造上、たいていは通りに面しているカフェの奥に中庭へとつながる出口がある。天気のよい日、人っ子一人いないカフェに遭遇したらそんな中庭のある可能性が大。

ベルリン風のそっけない「Hello」の短いひとことさえもらえず、誰もいないカフェをあらためて眺め回してみると、どこかで目にとまるこの書き置き。
「wir sind im Garten!(私たちは庭にいます!)」

無愛想な挨拶だこと、そう思いながらしんとしたトンネルをぬけると、緑につつまれた太陽と人の陽気が、言葉にかえて歓迎してくれる。
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by sommergarten | 2006-09-20 14:57 | 街角ブレイク

Aurum (Berlin-Shoeneberg)

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`Tee hat nicht die Arroganz des Weines, nicht die Selbstbewusstheit des Kaffees und nicht die Suessliche Unschuld des Kakaos.`

‘ティーはワインのように傲慢でもないし、コーヒーのように自信家でもなければ、ココアのような甘ったるい無邪気さも持ち合わせていない‘(意訳:Aya)

メニューをめくると、お茶にまつわるいろいろな言葉が書いてあって興味をそそる。ここは、風変わりなティーとカクテル専門のお店。中国茶や日本茶、インドの紅茶など各種類が一応そろってはいるが、数自体は100数種類を誇るような専門店の比ではなく、たいしたことはない。

他に類を見ないのはそのカクテル手法。たとえば、「アイスグリーンティー」なるものは、薄い緑茶を柑橘系の果汁で割って、蜂蜜を加えたものだったりする。ドイツにしては珍しく、アイスというだけあってしっかり冷えているのだが、氷は入っていないため香り高く風味が味わえる。緑茶に柑橘果汁など一見すると不思議な取り合わせだが、紅茶にレモンを入れることがあるのを考えると、そう不自然でもない。さっぱりしていて、意外にいける。それは東京の高級カクテルバーでかつて飲んだことのある、ノンアルコールのカクテルの繊細な味に似ている。

オーナーいわく、紅茶よりも発酵させていない緑茶のほうが、味に強い癖がないためすんなりと他のものと溶け合うのだそうである。これは微妙な分量配分のバランスにもよるところが大きいだろう。彼女は何かと何かを、それもまったく異質のものを一定の分量で混ぜて新しいものを創り出すのが得意なのだ。この店の名前のサブタイトル「Tee, Cocktails, und mehr(ティーとカクテルとそのほかいろいろ)」のゆえんである

インテリアも混合スタイル。東洋のお茶を扱っていることもあるのだろうが、店の一角はドイツにしてはめずらしい靴を脱いであがるお座敷スタイル。大半を占めるテーブル席のなかで窓際の特等席に置かれたこのお座敷コーナーには、鮮やかな色のクッションが並びインテリアのアクセントになっている。しかし、全体に対するその割合が微妙に制御され、全体的にはもの静かな雰囲気だ。

「このお店の名前、『Aurum』っていったいどういう意味なんですか」
「化学の元素記号、知っていますか」
「.......」

質問に質問(それも答えられない質問で)返してきたオーナーの女性は人懐っこく微笑んでいる。お店の内装といい、イングリッシュ・アフタヌーンティーやサモアールで飲むロシアンティーなどの「セレモニーティー」なるメニュー内容からしても、オーナーの雰囲気と同様、とても女性的なお店だと思っていたが、その口から「化学」がどうのといわれて当惑してしまう。

色をたくさん取り入れた内装も、その配分を抑えることで甘ったる過ぎず、ダークブラウンと白が基調のインテリアはどこかドライである。が、かといってとっつきにくい感じでもなく、自己主張も過ぎない。それは、まるで、― 冒頭のティーと同じ存在感ではないか。

そんなドイツのティーはミルクを入れないのがお約束。そして、かならず薄いガラスのカップで出てくる。その色がまさに「Aurum」という。答えは「金」であった。

医者とエンジニア。これがここの女性オーナー二人の本職。この店は副業だという。「そのうち医者一本でやっていきたいとは思ってるんだけどね」と美貌の皮膚科医がチャーミングに言い訳をしていた。

ここはティーの店であっても、専門店ではない。
ティーを主役にすえた、化学の実験室。いろいろなものが一定の割合で混ぜられ、新しいものが創りだされる場所。そこには、金があり、夢がある。念のため、コーヒーもある。
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AURUM
Akazienstrasse 10
Berlin-Shoeneberg
Tel: (030) 77 00 89 88
W-Lan for free
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by sommergarten | 2006-09-18 11:23 | cafe

KAUF DICH GLUECKLICH (Berlin-Prenzlauerberg)

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お店の名前を意訳すると、「買い物して幸せになろう」。ドイツ人の知人いわく「買い物依存症の人のためにある言葉よ」。

病的な買い物依存症でなくとも、物質主義のご時世、買い物をして気分がよくなることは誰にでもよくあること。たいしたお金はないのに、あるいはないからこそ、お金を使いたくなる。そんなわれら小市民たちの喜びを、遊び心あふれるもてなしで迎えてくれるのがこのカフェ。

お店の中にディスプレイ、あるいは使用されている、古ぼけた椅子やテーブル、家具や昔のブリキのおもちゃ、チープなつくりのジャンクなアクセサリーなど、はっきりいって「がらくた」とよべるものたちだが、それらには値段がついていて買うことができるのである。しかし良心的なのは、どれだけ熱心に探しても「これがほしい」というものに遭遇しない点。意図的なものでないにしろ、おかげで懐を気にせずに安心してゆっくりお茶が楽しめる。キッチュながらくたに囲まれて雰囲気はアットホーム。ソファーに座ると、かつて子供のころ、友達の家におよばれにいってお茶を出してもらっている時のような、ふと懐かしい気分におそわれる。
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セルフサービスで、カフェ以外にアイスクリームカウンターがあるが、特筆すべきはここのワッフル。なんでもないシンプルなものだが、大きくってほかほかのものが、小さなお皿いっぱいにはみ出しそうになって出てくる。その上にアイスを乗せてもらっても2ユーロ。普通の白い小麦粉でなく、精製していない粉はプラス50セントほどだっただろうか。いうまでもなく味は普通の小麦粉でつくったものの方がおいしいのだが、甘いものを楽しみつつ、体にいいことをしている気分になれる茶色いワッフルには満足感がある。

かつて「ハイジ」があこがれていた都会の高価で美味な白パンも、現代の都会のヘルスコンシャスな人々にとっては敵。今は追加料金を払ってまで、精製する手間を省いているが、体によいといわれる粉でつくったパンやお菓子を食べたい人が多い。最近流行のカフェには、たいてい健康志向のために黒っぽいパンが取り揃えられているのが常識だ。
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「Aya!Ah-yah!!」
え、なに、誰、私のことですか。

振り返ると、ワッフルの載ったお皿が背の高いドイツ人ウェイトレスの肩から、目の前のテーブルに急降下してきた。すっかり忘れていたのだが、オーダーするときにファーストネームを聞かれていたのだ。お店が立て込んでくると、あとでテーブルまで運んでくれるのだが、何せ人手が足りないのと席数が多いのとで、名前で照合することになっている。初対面のドイツ人からファーストネームで呼ばれるのも、なんだか慣れない者同士で気恥ずかしさがなくもない。しかし、家庭的でかつジャンクなインテリアのバックがあれば、ナイーブなドイツ人ウェイトレスも即座に親戚のお姉さんに変身。したがって、こちらも下宿人気分でついゆっくりと便箋を広げてしまう。
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by sommergarten | 2006-09-07 14:21 | cafe

Cafe am Postfuhramt (Berlin-Mitte)

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秋の青い高い空。シーズンが終わってしまう前にオープンカフェを満喫しておきたい。
遠出の散歩帰りに、カフェの密集地区Oranienburger通りで路面電車を降りた。

とりあえずはTucholsky通りに向かってどのカフェに行こうか考えながら、ベビーカーかを引いて歩いていると、しとしとと雨が降ってきた。あ、雨だ。そう思った瞬間には大粒になり、地面は瞬く間に真っ黒になっていく。傘も差さずに身軽に走り抜けていく若い男や、地元民より天気に詳しい観光客の落ち着いたレインコート姿の脇で、ベビーカーの下からもたもたと雨用カバーを引っ張り出し、いつものことながら上手くかぶせられずにずぶぬれになる。雨量がいよいよ増えてくると、やっとのことで広げた小さな折りたたみ傘も用を足さくなってきた。とりあえず前へと進んではみるが、もうすっかり体が冷えきっている。

途方にくれて立ち止まり、傘をふとあげると、目の前に手書きの大きな「CAFE↑」の看板。10段ほど階段があるが、そんなことはこの際かまっていられない。とにかく屋根のあるところに入らなければ。手伝ってもらってベビーカーを運びあげた。

そういうことでもなければ、敷居をまたぐこともなかったかもしれない。
ここは元郵便局関連の建物というくらいしか知らなかったのだが、なににしろここの重そうな扉はいつも硬く閉ざされていたし、人気もなかったのだ。ところが、この雨の日、たまたまその扉が大きく開いていて、内外に人がたむろしていたのが幸いだった。人の集まるところにはもちろんカフェの影ありき。

調べてみると、ここはかつては郵便馬車厩舎とその御者の共同宿泊所だったらしい。郵便物が馬を使って運搬されていたときの話であるからずいぶん昔の話だが、当時は約250馬分の郵便馬車が収容できたという。何かの折に、道路を挟んで向こう側の歩道を通るたびに、いつも思いがけずにシャッターを押していた。ただ純粋に、建物として美しい、そう感じる衝動からである。建物のある側の道を歩いている時は、建物が大きすぎ、至近距離で被写体として目に入ってこない。しかし、道の向こう側から眺めるとちょうど建物全体が視界に納まる。だからここを通る機会があるたびに、ついシャッターを押してしまうのだ。

写真に収めて改めてみると立派に見えるのだが、実際に街角で見るとそう派手ではない。ベルリンのシンボルマークであるテレビ塔が顔を出し、シナゴークが金色の尖塔を輝かせているオラニエンブルガー通りにあって、このかつての郵便馬車厩舎は実はかなり地味な存在だ。しかし、抗いがたい魅力がある。それは素顔の美しさと似ている。飾り立てられ、演出されなくても、あるいは宣伝の中で作り出される付加価値がなくても、そのもの自体が美しく輝いてしまうというような。人の目を気にせずにただマイペースでやっているだけで、いつのまにか周囲を惹きつけてしまう美しいひとがいるように。

第二次世界大戦中にはかなりの被害を受けたため再建されたものらしいが、旧東時代を経て、2005年にドイツ郵便局が建築関係の組織に売却した。その後内部の改装を得て現在は写真展などのギャラリーになっている。ベルリンの比較的新しい文化発信地として密かな注目を浴びているようだ。
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イタリアルネッサンス様式の建物は、1875年から1881年にかけてCarl Schwatloの構想により建設された。装飾のレリーフが特に貴重なものらしく重要文化財として保護されている。しかし中に入ってびっくりするのはその簡素さ。エントランスホールを含め、室内はコンクリートの打ちっぱなしであったと記憶している。カフェはセルフサービスで値段も安い。グレーのコンクリートに映える消火器の赤がモダンアートに見えるほどコンテンポラリーなカフェ空間は、幾時もの時代の交錯の中から浮きあがってきた異次元のようだ。
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by sommergarten | 2006-09-05 11:24 | cafe